パワーアンプのセッティングで注意すべき事がらはあまりありません。しいて挙げれば 放熱に注意することプリアンプとの接続ケーブルを厳選することでしょうか。 パワーアンプはセッティングよりもその選択が重要なオーディオ機器でしょう

 放熱に関してはがっちりしたオーディオラックの一番上の天板上に配置するのが最も良いと思います。 重いものほど下に配置するのが原則などとラックの一番下に配置するようにすすめている本 もありますが絶対的な必然性はなくむしろほこりをかぶりやすく放熱の悪いことが多い 場所であるなど良いことはありません。

 プリアンプとの接続ケーブルの選び方はオーディオケーブルの選択の項で述べていますが このケーブルがオーディオケーブルで最も重要な部分です。いろいろなケーブルを買ってみて 良い物を選ぶことしかありません。雑誌の評価はあまりあてになりません。また同じメーカーの 同じ品番のものでも音は微妙に異なります。これは同じ構造素材のケーブルでも微妙に周波数特性 歪特性位相特性が異なるからですがケーブルのこういったデータは一般に測定されていないので できれば何本かかってきて一番良い音の組み合わせを使用したいものです。
 十分に暖気して試聴することはプリアンプと同様に重要です。私の現行パワーアンプは音楽を聴く 最低6時間〜8時間前に電源を入れておきます。暖気中は音は出しません。暖気に要する時間はパワーアンプ ごとに異なりますので一概には言えません。
 ここでブリッジ接続について述べておきます。これはステレオパワーアンプの左右のチャンネル の一方の出力を位相反転回路で位相を反転して合成し出力電圧(増幅度)を2倍得る方式です。 全く同じパワーアンプをもう一台用意しなければなりませんが簡単な接続の変更で片チャンネル あたり4倍の出力が得られます。出力不足の傾向のあるアンプには効果的なチューンアップですが この方式にはメリットとデメリットがあります。メリットはまずパワーに余裕が出来ること 同じ音量ならより小さい仕事量領域でパワーアンプを使用することになりその分歪や周波数特性 により優れたサウンドが得られることff(フォルテッシモ)におけるクリッピングの危険性が ほぼ消失すること利得が2倍になることからプリアンプ出力は2分の1で良くなり一般に その分だけSN比が向上することすなわちダイナミックレンジが増加すること。デメリットは やはり位相反転回路による微妙な位相のずれのために楽器の定位や音場空間の再現性が多少とも 低下することでしょう。この現象はどちらかというと低音域で目立ちやすいものです。
 ブリッジ接続を総合評価するとメリットからデメリットを差し引いた結果はせいぜいプラス 15%位でしょう。つまり1台のステレオパワーアンプを使用時の音を100点とすると 2台のパワーアンプをブリッジ接続した音はせいぜい115点どまり厳しくみると105点 くらいでしょうか。ブリッジ接続にもう1台同じパワーアンプを買うよりは全く別のパワーアンプ を買ってその時の気分で付け替えて聴いた方が良いと言う考え方もあります。
各論的結論をいうと 多少音のエッジの立ちすぎの傾向のあるパワーアンプはブリッジ接続にすると適度にエッジが 取れ歪が減少周波数特性が向上しサウンドが自然で快適なものになりますから良い方法と 言えるでしょう。逆に元々穏やかな音の傾向のあるパワーアンプは、ブリッジ接続にすると 音がゆるくなりすぎてダメとも言えるでしょう。
 これらのことはブリッジの位相反転回路等がおまけではなく十分に良質の部品を使用して 設計されたパワーアンプであることが前提となるでしょう。日本が世界に誇るハイエンド オーディオメーカーであるACCUPHASEのパワーアンプはブリッジで使用することもよく 考えて設計されておりオリジナルに比べると音は多少マイルドにはなりますが十分に 音楽的かつオーディオ的にも優れた音を聞かせてくれます。私の現行システムではセンタースピーカーと サラウンドスピーカーのアンプは、ブリッジ接続で使用しています。

 ブリッジ接続のセッティングの最重要ポイントは前回の電源タップの選定の項で述べるべきでしたが ここで追加させていただくとそれぞれのパワーアンプに専用の電源回路から専用の ノイズフィルター付タップで電源を取ることです。前回述べたようにデジタル機器用に 1系統必要ですから合計3系統の専用電源回路と電源タップが必要となります。 これは絶対に必須と考えてください。15畳くらいの部屋でインピーダンスが 8オームのスピーカーを使用してオーケストラ音楽の大音量再生をするとff (フォルテッシモ)の時には片チャンネルだいたい500W位の出力が出ます。 その時のパワーアンプの消費電力は少なくとも1500Wくらいと考えられます。 一般的な屋内配線の1系統あたりの許容電力は2000Wですから2台のパワーアンプの電力 合計3000Wはまかない切れません。必然的に2系統の専用回路を引かないと ブリッジ接続の余裕あるパワー感は得られないのです。




 セッティングが進むにつれてだんだん大きな音が出せるようになる〜大きな音を出して もうるさくなくなる〜大きな音を出したくなるものです。それは正常の進化を意味します。 ただし大きな音を出せば出すほど音が良くなるわけではありません。アンプには適正な 仕事量があります。おおむねf(フォルテ)でレッドゾーンに入るか入らない程度ff (フォルテッシモ)でもレッドゾーンの範囲を振り切らない程度が最も良い音が出ると 思われます。これはアンプによりパワーメーターの回路が異なるため一概には言えません。 逆にパワーメーターの針がレッドゾーンに入ることが全くないなどいつも小さい仕事量で聴い ているようならおいしいところを聴き逃しているかもしれません。
 オーディオルームの防音工事を追加すると音のエネルギーが漏れない分一般に小さい音 で楽しめるようになるものです。部屋の中の家具の配置を変えて同様に音漏れを少なく した場合なども小さい音で楽しめるようになるようです。


 オ−ディオ機器に重しをのせれば音は変わります。重しの重量で機器の振動を制御したり 共振を減らしたりするからです。しかしながら変わるということは必ずしも良くなると言う ことを意味しません。メーカーは重しをのせない状態で音作りをしているのです。重しをのせて 音が良くなったかどうかを冷静に厳密に見極めなければなりません。一般にハイエンドと言われる 大型の高級オーディオ機器は重しをのせる必要はほとんどありません。重しをのせて部分的には 良くなっても総合的には音が良くなることはあまりありません。スピーカーパワーアンプ プリアンプDVDプレイヤーの中ではプリアンプとDVDプレイヤーはこういったデバイスを使用 する価値があるかもしれません。その場合もせいぜい数百グラム程度のものにすべきでしょう