小児では、発熱と同時に発疹が出現(成人では1〜2日後)し、発疹の消長と一致します。小児では、高熱になることは少なく、数日で解熱しますが、成人では高熱が10日間に及ぶことがあります。か皮形成期になると解熱します。発疹は、躯幹に多く出現し、顔や四肢は少なめです(四肢では上腕・大腿に多発)。典型例では、紅斑→丘疹→水疱→か皮と、6〜8hr毎に急速変化。新旧の発疹混在が特徴です。水痘疹の数は、数ケ〜多数と様々です。発疹は、口腔粘膜・眼瞼・気道・直腸・外陰部粘膜にも出現します。60%の症例で、水疱性口内疹を伴います。通常3日以内に全発疹が、か皮形成(発症より7日間位)。水疱は、皮膚の表面にのみ存在し、薄い1層の被膜で覆われ、容易につぶれます。水疱は、露滴に似ており、直径2〜3mmで紅うんを伴います。水疱は、増大し、5mmくらいに達したころ、紅うんは消失。ついで、乾燥して黒色のか皮を形成します。5〜20日でか皮は脱落し、浅い白色〜淡紅色の皮膚陥凹を残します(二次感染なければ、この陥凹は翌年には消失します)。皮膚の弱い患者では、大人になっても、はん痕の残ることがあります。
|
|
発熱は、約3日間(2〜5日間)で通常持続。高熱のわりに一般状態はよく、咽頭所見も認められません。
解熱と前後して、淡紅色の径2〜3mm大の斑丘疹性発疹(躯幹中心で全身性で風疹様、通常の麻疹より 皮疹が小さい)が、最初躯幹に出現、ついで頸部、顔面、四肢に広がるのが特徴。発疹が躯幹のみに
留どまることがあります。発疹は、約48hr持続し、消失。指圧で褪色し、融合・色素沈着・落せつなし。 エンテロウィルス・アデノウィルスによる発疹との区別は困難。非典型例・不頸性感染あり。
|
|
患者と接触後、ほぼ11日で発病します。上気道炎症状出現の2〜3日後に、Koplik斑
(発疹出現後1〜2日間まで持続、出現率70〜95%)が出現。発熱の再上昇(4病日目位) に合わせて発疹が出現するのが特徴で、頸部(頭髪境界部)より始まり、顔面・体幹・上肢へと
急速に拡大、数日(通常2日以内)で全身に広がります。発疹が全身に及んだ時期、初部位の 顔や首は最も強い状態です。発疹は、紅色班状丘診より鮮やか、圧迫により褪色します。皮疹は
融合して不規則形を呈しますが、皮疹間には健常皮膚を認めます。色調は、鮮紅色→暗赤色と変化、 4〜5日で褪色、米ぬか様に落屑し、赤褐色〜灰黒色の色素沈着を残します(色素沈着も1〜2週間で褪色)。
|
|
初感染は、1〜4才に多い病気です。性差はありません。99%以上が、不顕性感染
(1%未満に口内炎・陰門膣炎・疱疹性湿疹・角結膜炎・髄膜脳炎)です。 発疹は、口唇口腔内に認められます。ウィルスは、唾液・皮疹・尿・糞便より分離されます。
口内炎は、最も普通にみられ、全経過5〜7日(軽症)、10〜14日(重症)。
|
|
1〜3日後に、他側が腫張(1〜3日でピーク、3〜7日で消退)。30〜40%は不顕性。 95%以上は15歳未満で、40%は5〜9才が占めます。感染源は患者の唾液。伝染力は強く麻疹に近い(家族内未り患同居者は、ほぼ100%だが、近所で流行していても直接の接触がなければ40%位となる)。母子免疫は、生後10ヶ月位までは有効で、生後6〜8ヶ月の乳幼児は非常にまれです。2〜9才が好発年齢で3〜4才がピーク。年長児ほど症状が強いです。 数日で38℃前後の発熱は解熱します。主要症状は1週間以内に消退することが多いようです。 難聴は年長児に出現しやすく、感音性難聴で片側性であるため発見が遅れやすいものです(一過性4.4%、永久0.005%)。 精巣卵巣炎は、成人症例に多く合併し、通常一側性(75%)で不娠となることは少ないものです。精巣炎は、そのほとんどが11〜40才で、思春期以降の成人の25%に合併し、20%が両側性→耳下腺炎が消退し、平熱となった第6〜10病日頃に発症し、1〜2週間で消退するが30〜50%の症例で精巣萎縮をきたします。卵巣炎は思春期以降の成人で5%に合併します。 腹痛例(とくに上腹部痛)の多くは膵炎を合併。 無菌性髄膜炎が、1〜10%にみられますが、高熱の持続や長期の発熱がある場合は精巣炎や髄膜脳炎を合併している率が高いようです。脳炎の合併は0.017〜0.25%(脳炎の1.4%が死亡)。 以上のように合併症が多いため、予めワクチンを接種しておくのがよい病気です。季節的には6月がピーク。 |
春〜夏に多い。高熱とともに急発症。腹痛を伴うこともあります。軟口蓋〜口蓋弓にかけて、数個の小水疱形成を特徴とします。2〜3日で潰瘍状からアフタ性へと変化します。扁桃・頬粘膜にヘルペス様の発疹(HSVと異なり歯肉にはできません)が出現することがあります。 |
好発年齢は6〜24ヶ月の幼児(70%)。6ヶ月以下は4%のみ→新生児期のロタウィルス感染症は、不顕性に経過することが多いようです。性差なし。
定例型では、嘔吐から始まり下痢を続発するものが多い病気です。年長児では下痢を伴わないことが多いですが、嘔吐は年長児ほど出現しやすいようです。下痢は90%(0〜2歳児では100%:回数は5回以下が61%)・嘔吐は63%(82%は回数が1〜2回)・発熱は40%(75%は38℃以上)・白色便は30%にみられます。症状の組み合わせとしては、嘔吐・下痢が60%と一番多い。 原因ウイルスであるロタウィルスは、ウィルス性下痢症の約50%を占めます(ウィルス性下痢症の流行最盛期には80%以上となることがあります)。12月〜3月に流行します。夏季にはロタウィルスの感染はまれです。 Norwwalk下痢症は、ロタウィルスより軽症で症状の持続も短いです。 アデノウィルスでも白色便をみとめることがあります。 ロタウィルスには数種類があります。ロタウィルスの標的年齢層は、A群の場合、年長の小児から成人であり、C群などでは乳児嘔吐下痢症は起こさないと考えられています。 |
全経過は通常約1週間です。結膜炎より咽頭炎や発熱の症状が強いです。3主徴のうちいずれかの症状を欠く不完全型があります。
結膜症状(急性ろ胞性結膜炎)は、流行性角結膜炎(EKC)より、局所症状は軽いが全身症状が強く、39〜40℃前後の高熱が3〜4(〜7)日間持続します。朝はやや低く、夕方に上昇します。結膜炎は1〜2週間で治療し予後良好。点状角膜炎は起こさない→起こしたとしても角膜の点状上皮混濁はごく軽度です。 小中学校の年齢層に好発します。夏季に流行します。プールに入ってから3〜4日後の発病が多い病気です。 結膜炎治療後も約1ヶ月は糞便中にウィルス排泄(+)。 |
|