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 ここでは、最初に一般的な2チャンネルのスピーカーセッティングについて述べ、 最後にマルチチャンネルについて述べます。

まず、スピーカーは、必ずスピーカー後方の壁に、できるだけくっつけて設置すること。これは、クラッシックの特にオーケストラ音楽の再生の基本中の基本です。

 多くのオーディオの本や、メーカーの使用説明書では、スピーカーは後方の壁からできるだけ 離して設置すると良い結果が得られると書かれていますが、それは狭い部屋にスピーカーを設置 した場合の話です。一般に10畳以下の部屋では、スピーカーを後方の壁に寄せて設置すると、 不快な定在波が、特に音楽にとって重要な低い周波数領域に必ず生じるため(これをブーミング と言う)、これを避けるために、すなわち低音が出にくいようにするために、そのような折衷案を 提示しているものです。ここで、クラッシックのオーケストラ音楽の大音量再生を目指す時、 このような折衷案を参考にしていては、到底素晴らしい音響に出会えないことを、多くの オーディオファンは肝に銘じるべきです。
 クラッシック音楽の基礎を支えるものは低音楽器です。低音が十分に量感豊かに、しかも 自然に再生されないオーディオは、価値がありません。最も重要なスピーカーのセッティングで、 最初から、このような低音ができるだけ出にくい、誤ったセッティングをしてはなりません。 繰り返しますが、スピーカーは必ず、できるだけ後方の壁に寄せて設置することです。 (当然ですが、スピーカーの振動が直接壁に伝わらないように、数センチ位は空けておく 必要はあります。)こうすることにより、スピーカー本来の豊かな低音が再生されます。
 もうお気づきのように、ここで、前回オーディオルームのセッティングで述べているように、 オーディオルームの広さが関係してきます。10畳以下の狭い部屋では、どうしても 耳障りな周波数領域の低域の定在波が発生します。豊かな低音を聞きたくてスピーカーを 後方の壁に寄せて設置すると、今度は、ブーミングが発生し、低音がうるさく感じられて、 どうしようもない状況になるわけです。15畳以上の部屋になると、当然、定在波は発生 していますが、それは、音楽の重要な低音域よりももっと超低域の方に移行していくため (前回述べているように定在波は、部屋が広くなるに従って、低い周波数領域に移行する) 人間にとって気にならない音となり、スピーカーを後方の壁にできるだけ寄せて設置しても、 いやなブーミング現象は発生しないと言う訳です。

 もう一度まとめると、大きな部屋では、スピーカーを後方の壁に寄せて設置して、豊かな 低音〜重厚で迫力ある低音を自然に再生できるけれども、小さい部屋ではブーミングの ためにスピーカーを壁にくっつけられず、低音を豊かに再現することは不可能だという ことです。従って、クラッシックのオーケストラ音楽の大音量再生のためには、 どうしても12畳以上の部屋が必要となるわけです。

次に重要なポイントは、2つのスピーカーの間隔と両サイドの壁との間隔です。

 オーディオルームのセッティングで少し述べているように、 スピーカー同士の間隔は広い方がステレオ感が増大しますので、 できるだけ間隔は空けたいものです。しかしながら、両サイドの壁にはあまりくっつけたくはありません。 スピーカーを両サイドの壁に近づけすぎると、壁からの反射波がスピーカーからの直接音の音波と 干渉して、正確なステレオ音場が形成できません。壁の材質や形状にもよりますが、一般的には、 両サイドの壁から最低50センチ、できれば70センチくらいは空けるべきでしょう。


3番目に重要なことはスピーカーの向きです。

 スピーカーの向きって何?と言う方もいるかもしれません。ステレオ録音は、 スピーカーを多少リスニングポイントに向けて、左右それぞれ互いに内側に多少振った 状態で正確な音場が再現できるように録音されています。これをスピーカーの内振りと いいますが、その角度はスピーカーやオーディオルームにより異なるので、一概にはいえません。 ほとんど正面にまっすぐ位が良い場合もあるし、逆に、ほとんどリスナーに正対する くらいに内振りしたほうが良い場合もあります。現在の私のシステムは、大体その中間位に しています。これは試聴により決めるべきです。できるだけ自然に左右に音が拡がって 聞こえながらも、スピーカーの間にオーケストラが整然と厚く音場が再現される角度を見つけます。 よくあるのは中抜けと言う現象で、スピーカーの中央付近からは音があまり聞こえない状態です。 これはステレオ再生が、もともと仮想定位と言う聴感上の楽器の定位感を得る再生を行っているため に起こりやすい現象です。中抜けが発生していると、オーケストラの中央付近から音がない状態となり、 極めて不自然な落ち着かない音となります。こういう場合は、スピーカーを少し内振りしてやると 解消します。これは、ほんの少しの違いでも決定的というくらい変わるので、1ミリくらいずつ 移動しながら、じっくりと決めるようにしましょう。


最後に重要なことはスピーカーの足場、足元のチューニングです。

 大型スピーカーにはたいてい、キャスターや何かしらの足がついていることが多いものです。 これらは、床が大理石や御影石など固い場合は、そのまま使用できますが、床がフローリングや カーペットなどやわらかい場合は、何らかの処置が必要なことがほとんどです。最近はスパイクと 言って、先のとがった金具をスピーカーの底にねじ込んで、3点ないしは4点で支えるのがは やっていますが、これは、前述の硬い床の場合は良い方法ですが、やわらかい床の場合は、 最高の設置法ではありません。スピーカーのエネルギーが細いスパイクを伝わって、 やわらかい床を点で強力にグリップして共振させるからで、音が濁る原因となります。 柔らかい床に最も適当な足台は、全体に厚手の硬質のフェルト、または、硬質ゴムを貼った硬くて小さくて 重たい板と思います。これには、インシュレーターをして市販されているものには、 適当なものがあまり見当たりません。私は後述のように自作しています。こういったものは、 市販の物でも良いのですが、自作できる物なので、いろいろトライしてみましょう。
 こういったスピーカーの足回りのチューニングの良否の判断のポイントは、やはり試聴、 つまり実際の音で判断するべきです。お金をかけて高いインシュレーターを買っても、 音が良くなるとは限りません。適当にスピーカーのエネルギーを減衰しながらも、 基本は十分に硬いもので、スピーカーを硬く強く受け止めてくれるようなものが一般的に 良いと言えます。ただ単に硬いだけのものではスパイクと同じで、床を共振させて再生音が 濁ってしまいますし、逆に柔らかいだけですと、スピーカーのエネルギーが吸収されて、 音にエネルギー感がなくなります。

マルチチャンネルについて

 まず、マルチチャンネルについて、大きく分けるとDVDVideoとDVDAudioとSACDマルチの3つの流れがあることを お話しておきましょう。
  DVDVideoは、映画ソフトのマルチサラウンド再生のためのものです。 5-1サラウンドと呼ばれ、前後左右合計5台のスピーカーにスーパーウーハーを加えて再生するものです。 各チャンネルの音質は、CDとほぼ同じくらいです。
 DVDVideoは、純粋の音楽ファン、オーディオファンが 聞くに耐えるものではありません。音質はCD並ですから、わざわざマルチにして聞く意味はありません。 従って、スーパーウーハーを導入する必要は、完全にありません。少なくとも、オーケストラの 大音量再生でスーパーウーハーを導入してよいことは、完全に一つもなく、本来必要ないものです。 スーパーウーハーは映画の効果音などをドカンドカン鳴らすためのもので、音楽を聞くものではないと 断言します。
 DVDAudioは、DVDVideoとは少し異なるフォーマットで、 オーディオを最優先に最高の音質でマルチチャンネル再生が可能になるものです。
5-1サラウンド 再生も可能ですが、純粋に最高の音質を目指すためにスーパーウーハーは使用せず、前後左右 合計5台のスピーカーでの再生が標準となっています。各チャンネルの音質はCDをはるかに 超えるものです。
 SACDマルチは、DSD録音の5CH、あるいは5.1CHで収録したもので、基本的にDVD-Audioと同様ですが、理論的には、SACDマルチの方が、若干音質的に優れているとも言われています。
 DVD-Audioは、出だしでつまづきました。スウェーデンの10代のハッカーがDVD-Audioの暗号を解読し公開したため、ソフト会社が敬遠し、現在に至ってもほとんど大手のレコード会社からの発売がありません。

  それに対し、SACDマルチは、SONYが主体となって大々的キャンペーンを行っており、少しずつ充実してきました。

マルチチャンネルセッティングにおいて、まず、最も重要なことは、2チャンネルを上記のやり方で完璧にセッティングすることです。

 これが、正確なマルチ音場の再生には絶対的に重要です。 なぜならば、マルチ音場とて、オーケストラが前に位置することは変わらず、ほとんどの音は 前方のスピーカーから出てくるからです。

 マルチの場合は、やはり前方3台のセッティングが重要で、これは2チャンネルと基本は同じです。 一つ異なるのは、メインの2チャンネルスピーカーにもう1台大きなスピーカーが入ってきて、 そのために音場が変わってしまうと言うことです。これはマルチをやる以上避けられないことです。 オーディオルームのセッティングの項でも述べていますが、基本的にはメインの2チャンネルの スピーカーの間には何も置かない方が良いのですが、逆に多少何か置いた方が、スピーカー相互の 干渉等を軽減して良い結果が得られる場合もありますので、がっかりすることはありません。 最善の妥協点を探るべく、センタースピーカーやその他のスピーカーの周りのものの位置関係等を チューニングするべきでしょう。

 リアのサラウンドの2台のスピーカーは、リスニングポイントまでの距離が、前方3台のスピーカーと 同じになるように設置すると言うことがマルチ再生の基本として推奨されていますが、スピーカー コンフィギュレイションのできるデジタルプリアンプ(Pioneer C−AX10など)を使える方は、 これに従う必要は全くありません。スピーカー位置を自由にセッティングできないプリアンプ (一般のアナログプリアンプの全て)を使っている方は、必ず、5台のスピーカーをリスニング ポイントから等距離に配置しなければなりません。

 リアスピーカーの置き方は突き詰めれば、前方3台と同じことになるわけですが、サラウンド情報の スピーカーについては、本来、音のエネルギーは断然少ないことなどから、前述の2チャンネルの スピーカーのセッティングで述べた足元の注意や周辺にできるだけ物を置かないこと、スピーカーの 向きを調整してみること等に気をつければ十分と思います。

マルチチャンネル成功の一番のポイントは、フロントと2チャンネルスピーカー及びアンプと同等、もしくは、1ランク下程度合計3台のスピーカーとアンプ合計1〜3台を投資することです。

 これは本来第2回で述べるべきでしたが(2005年1月追加)、ここで追加します。マルチのリアサラウンドとセンターのグレードは、あくまで、フロントと同程度、又は1ランク下までで、2チャンネルステレオをはるかに越える素晴らしいサウンドが再現できると考えることです。それ以下のグレードでは、本来のマルチサウンドは、再現不可能です。又、同一メーカーで、同一のシリーズのスピーカーとアンプでなければ、音色が異なってしまいますので、うまくいきません。こちらも重要なポイントです。




 インシュレーターは、自作しましょう。市販品でよい物があれば問題ないのですが、 こういったものは往々に、ただ単に硬いだけのことが多く、一般的な木の床に適当ではありません。
 私は、運動用品のダンベルの重り(直径10センチ、厚さ1センチくらいの鋼鉄製、中央に 1センチくらいの穴があいている)に厚手の硬質ゴム(厚さ2ミリくらい) を貼って、インシュレーターとしました。8個で制作費3500円くらいです。こういったものは、 いろいろ作って、試してみましょう。
 一般的な原則は、硬い床には硬いインシュレーター、柔らかい床には多少柔らかいインシュレーター が良いですが、ただ単に硬いだけでは、振動を床に伝えるだけで、インシュレーターの意味がなく、 逆に柔らかいだけでは、スピーカーの音のエネルギーを消費して、音に元気がなくなってしまいます。 バランスをとることが重要でしょう。






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