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多くの人々は、オーディオ雑誌を一度は見たことがあるでしょうし、定期的に購入している方もいる
でしょう。これらについて、はっきりいえることは、ほとんど当てにならないような、 いわゆるお買物雑誌としてしか意味のないものから、まあまあ信頼できるものまでいろいろですが、
最終的には自分の耳が一番信用できるということです。
評論家の意見はあくまで参考までに、自分の耳で視聴して決定すべきです。
しかしながら、経験の浅い人が、自分で試聴して決めろといわれても、そもそも良い音、 すばらしい音に出合ったことのない人がそれらを判定できるかというと、現実的には
かなり難しいといわざるを得ません。私は、できれば、クラッシック楽器の演奏経験のあるオーディオ
マニアの意見を聞いてみることをお勧めします。
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逆に、楽器演奏経験が全くなく、クラッシック音楽にも造詣が深いとはいえず、ただ単にオーディオ歴のみ
長い人は、音楽とはかけ離れた、とんでもない音の趣味を押し付けられる可能性が高いので、 お勧めできません。
かくいう私は、ピアノとバイオリンをやっておりました。すでに練習をやめて久しい現在では、 人様にお聞かせするような腕前は持っておりませんが、その経験が現在の音楽鑑賞、オーディオ選定に
決定的な意味を持っているように思います。
楽器経験のある人は、当然のごとく、その楽器本来の音、本当の音を知っています。逆に、そういったことが全くない人は、いくらオーケストラの定期会員になって、毎週のようにS席で演奏会を
聞いても、それは所詮、そのホールのその席の音響特性の音を聞いているのであって、音楽のすべてを 本来の音、あるいは最高の音で聴いているわけではないのです。
時々、オーディオ雑誌には、毎週のように S席に通って、その音とまったく同じ音になるように自宅のオーディオを苦労してセッテングしたという話が
出ていますが、私はこれらの人のオーディオを信用できません。
前述のごとく、ほとんどの大規模ホールの S席の音は、高域と低域がかなり減衰しており、演奏者が聞いている音、演奏者が意図して出している音
とは、ほど遠いものがあるからです。別の言い方をすれば、聞きやすくやわらかい音にはなっていますが、 演奏者が意図した音楽のエネルギー感やシャープな音の切れ、心に突き刺さるような演奏の迫力は、
かなり差し引かれて聴きとりにくい音になっているということです。
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自宅でクラッシック音楽を本気で聴いていこう、本気でクラッシックを鳴らしたいという人の目標は、
やはり、コンサートホールの音を少なくとも上回る音質を得ることでしょう。それは、演奏者の意図した音、
音楽をストレートに表現してくれるものであって、そして、それには当然、大なり小なり空間による音の
減衰が加わりますが、適度のまろやかさと響きを持ちつつも、すべての演奏表現を最大もらさず 伝えてくれるものでなくてはなりません。ここまでの道は、決して易しいものではないと言って
おきましょう。幾多の悩みや疑問を超えて、十分なセットアップが完了すれば、今度はオーディオのことを
心から追いやって、心身ともにクラッシック音楽のすばらしさに浸れるのです。 |
私自身を振り返れば、音楽を聴いているときに、オーディオのことがどこか気になるようなら、
まだ何か問題が有ると思ったほうが良いと言えます。しかしながら、それを一晩で解決するのは、 無理と言うもの。
じっくり楽しみながら追求すれば、必ず、ほとんど完璧な解決策が見つかるはずです。
実際、オーディオは、かなり微妙なところがあります。ほんの少しのセッティングの違いで (例えば、スピーカーの下に敷くインシュレータなどの違い)、心から楽しめるか、どうも何かが違うと
感じるかそういったところが多いのです。 |
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